Wandering boy
くいくい。
右のみつあみをひっぱられる。
先輩
なんだね
前から聞きたかったんですが
はいはい
なんで髪をひぱっるのです
みつあみは君、ドアノッカーじゃないのか、もしくは呼び鈴
くいくい。
ひっぱりながら、
ピンポーン
地声より高め。
ずいぶん心ここにあらずのようですね
そんなことありません
そう? 君、どんどん俺から離れようとするから俺の左肩、随分雨もしたたるいい肩
ごめんなさい
君の傘なわけだし
にこにこにこにこ、
傘も先輩も放り出して雨の中走り出したい。
別にとって食いはしないよ
どうしたらいいんだ、
立ち止まってしまったら眉間をちょいとつつかれた。
前は紙をはさまれそうになったか。
目に涙がにじむ。
先輩の呼び鈴はどこにあるんです
俺は魂のヌーディストだからそういったものはございません
いつでもオープンマインドです
なんですかあ、それ
本当は服なども脱ぎたいのですが、おまわりさんに捕まるのでやめているのです
君はどうです?
見たくないですか?
いえ、結構です
それは残念