my fair sister
部屋に入ったのはなにがしかの辞書をかりに行ったのである。抜き足差し足だからって変態ではない。最近無断で入ると異様に怒られるからだ。
そこで見つけたなにがしかの辞書にはさまれたあいつ宛ての手紙。
思いあまって机の角にあごをぶつけた。痛いではないか! 心と身体の衝撃に辞書ではなく手紙を持ち出してしまった。
今時、手紙!
俺の妹わりとやまとなでしこ。
しかもあいつ!
夕飯時、何事もなかったかのように振る舞う俺に、
兄ちゃん、じろじろ見て気持ち悪い
ああ!
早朝、校舎だって眠たげだ。かりっぱなしのあいつのマンガに手紙を挟んで机に突っ込む。そのままやつの椅子に座り机に頬杖をつく。やつがしていたように。
菊の花がしおれていたようなので水飲み場で水をいれかえていたら、歯切れのよい金属音とともに、
それじゃ、だめだよ、君
との声。