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sweet ladies



鍵を変えても無駄である。

我々は型をとりデパートに潜入。合い鍵を手に入れた。不法侵入ではない。我々が通う学舎の屋上の扉の鍵である。屋上の床を踏むことは当然の権利だと思われる。



蓮の色した空のもと、なおちらつくのはショッキングピンクと黒のボーダー。



 おい


ろうそくに化学の授業でくすねたマッチで火をつけようとしている向かいの人物。不器用だ。こちらは美術室で…まあ、バケツに水を入れ運んできた。二階から屋上。



 おい

 なんだよ

 おまえ、ぱんつ見えてるぜ



小気味よい擦過音がする。着火。ろうそくの炎は空の色と同化。同化しようもないショッキングピンクがやっとこちらを見る。



 うるせーな。おまえこそ、何そのジャージ。農作業でもすんのかよ

 やかましい、レギンスというやつじゃ



ぱんつが気になって顔を見れば薄く化粧がされた唇。たまに取り残された気分になる。その唇が言う。



 まあ、まだ明るいがそろそろはじめようぜ


 当然のように花火セットを私に見せる。


 おまえ、それのどこが線香なんだよ

 線香花火もついてるぜ



線香と線香花火とではずいぶん違うのだが。まあ、いい。ついでに長い紙を折りたたんだものをジャージレギンスポケットから取り出す。



 うわ、おまえ、それ持ってたのかよ

 一応、尾鷲だからな



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