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Dear Einstein, Ph.D.


揺らぐ視界に銀の柱。
闇は浅い。
向かいあう鏡に映るかのように永遠に広がる冷たくかすむ銀の柱に包まれる。


 めまいがしちゃうな、


そして同じ言葉のリフレイン。
聞き覚えのある声に感覚がさえて来る。


鉄の臭いにさわればやはり冷たい銀の柱、だが永遠は失われた。


これは教室の椅子だ。
連続する銀の柱は見慣れた椅子と机の脚。
どことなくぼやけているのは眼鏡をしていないからのようだ。
視力0.1以下の揺らぐ世界。

背中はじゃりじゃりした床の上。
部活の引き継ぎのあと教室に帰りどういうわけか床の上で寝てしまったらしい。

教室でよかった。

前に廊下で寝た時はさんざん踏まれたからな。


 受験のストレスか君たち、かわいいな、


世界が揺れているのは俺が揺れているからのようだ。



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